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会社を辞める前にやること。独立は「売上が3年続けて本業の3倍」になってから

会社を辞める前にやることは、退職の手続きではありません。辞めていいのは、副業の売上が3年以上続けて本業の収入の3倍を超えてから。その理由を調査データで確かめ、乗り換えずに積み足す「セカンドエンジン起業」を説明します。

このブログで、最初にあなたに伝えておきたいことがあります。

会社は、辞めないでください。

辞めていいのは、副業の売上が3年以上続けて、本業の収入の3倍を超えてからです。

「3倍? さすがに厳しすぎない?」と思いますよね。でも、ちょっと待ってください! この数字には、ちゃんと理由があります。今日は、その理由を国の調査データで一つずつ確かめていきます。

「会社を辞める前にやること」で検索すると出てくるもの

このキーワードで検索すると、上に並ぶのは退職届の書き方、有給休暇の消化、健康保険の切り替えといった手続きの話です。

もちろん、それも大事です。でも、独立を考えているあなたが本当に知りたいのは、手続きではなく「いつなら辞めても大丈夫なのか」なんですよね。

その答えが「3年」と「3倍」です。

開業した人の収入は、最初の年に下がる

日本政策金融公庫が、2016年に開業した3,517社を5年間追いかけた「新規開業パネル調査」があります。経営者が事業から受け取った月収の平均は、こう動きました。

  • 開業直前:35.9万円
  • 開業した年の年末(2016年):27.4万円
  • 2年目の年末(2017年):35.5万円
  • 3年目の年末(2018年):38.9万円
  • 4年目の年末(2019年):54.7万円
  • 5年目の年末(2020年):48.8万円

開業した年は、開業前より月に8万円以上下がっています。前の水準にほぼ戻るのは、2年目の年末です。

しかも、4年目に一番良くなったあと、5年目にはまた下がっています。2020年は新型コロナの年でした。黒字基調の会社の割合も、76.1%から62.8%へ、たった1年で13ポイント以上落ちています。

つまり、事業は一度うまくいっても、外の出来事ひとつで落ちるということです。

しかも、この調査の対象は、公庫から融資を受けた会社です。融資の審査を通った、比較的準備のできた開業者でさえ、こうなっているわけです。

なぜ「3年」なのか

同じ公庫の少し古い調査(2007年度新規開業実態調査)では、開業からの期間別に経営者の事業収入を比べています。

  • 開業0〜12カ月:32.9万円
  • 13〜24カ月:40.0万円
  • 25〜36カ月:45.3万円
  • それ以降:45万円前後で横ばい

事業の収入が落ち着いてくるのは、だいたい3年目なんです。

もう一つ理由があります。1年や2年だと、たまたま良かった年なのか、実力なのかが見分けられません。3年続けば、良い年と悪い年の両方を経験できます。悪い年でも基準を割らなかったのなら、それはもう偶然ではありません。

だから3年、月にすると36カ月です。

ただし、3年の平均で見てはいけません。最初の年だけ良くて、そのあと下がり続けている場合も通ってしまうからです。直近12カ月も3倍を割っていないこと。ここまで確かめて、初めて合格です。

なぜ「3倍」なのか

ここが一番大事なところです。

副業の「売上」と、会社の「給料」を、同じものさしで比べてはいけないんですよね。理由は3つあります。

1つ目:売上は、あなたの収入ではない

売上から、広告費、ツール代、外注費、交通費といった経費を引いた残りが、ようやくあなたの収入です。売上100万円は、収入100万円ではありません。

2つ目:会社は、給料の外でもお金を払っている

厚生年金の保険料率は18.3%、協会けんぽの健康保険料率は全国平均で9.90%(令和8年3月分から)です。これを会社とあなたで半分ずつ払っています。

つまり会社は、給料とは別に、給料の約14%を払ってくれているわけです。独立すると、会社が持ってくれていた半分がなくなります。

退職金もあります。厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、大学・大学院卒で勤続35年以上の人の定年退職金は、平均で2,037万円でした。

有給休暇もそうです。令和7年の同じ調査では、会社員が1年間に取った有給休暇は平均12.1日。休んでも給料が出ます。独立したら、休んだ日の売上は0円です。

3つ目:売上には波がある

日本政策金融公庫の「2024年度起業と起業意識に関する調査」で、起業家が今抱えている問題の1位は「売り上げを安定的に確保しづらい」でした。43.9%の人がこれを挙げています。

さっきのパネル調査のとおり、売上は1年で簡単に落ちます。

実際に計算してみます

年収600万円の会社員で考えてみます。あくまで計算のための例です。税金は話を分かりやすくするために外しています。

  • 会社が払っている社会保険料の負担分:約84万円(600万円×14%)
  • 退職金を1年分に割ると:約58万円(2,037万円÷35年)

これだけで、あなたが会社から受け取っている価値は、年に約740万円。本業の年収の1.2倍を超えます。

ここから経費を考えます。仮に売上の4割が経費だとすると、手元に740万円を残すには、売上が約1,240万円必要です。これで約2倍。

2倍で、やっと会社員と同じなんです。

でも、それは良い年の話です。売上が3倍の1,800万円あれば、悪い年に売上が3分の1落ちても1,200万円。それでもほぼ会社員と同じ水準が残ります。

そう、3倍は「一番悪い年でも、会社員の暮らしを割らないための数字」なんです。

ほとんどの人は3倍に届かない。だから辞めない

同じ2024年度の調査では、事業に使う時間が週35時間未満の「パートタイム起業家」の90.2%が、月商50万円未満でした。週35時間以上働く起業家でも、64.5%が月商50万円未満です。

正直に言うと、ほとんどの人は3倍に届きません。

でも、それでいいんです。

届かないうちは、会社の給料があなたの暮らしを支えてくれます。だから、焦って値下げしたり、合わない仕事を引き受けたりしなくて済みます。売上0円の月があっても、家賃は払えます。

これが、会社を辞めずにもう一つのエンジンを回す、一番の強みなんですよね。

だから、セカンドエンジン起業

飛行機には、エンジンが一つの機体と、二つの機体があります。エンジンが二つある双発機は、片方が止まっても、もう片方で飛び続けられます。

会社員の収入は、エンジン一つで飛んでいるのと同じなんですよね。給料というエンジンが止まったら、その日から売上0円です。しかも、そのエンジンを止めるかどうかを決めるのは、あなたではなく会社です。

かといって、会社を辞めて新しいエンジンに乗り換えるのは、ここまで見てきたとおり危ない。新しいエンジンは、最初の1年は力が落ちますし、外の出来事ひとつで止まります。

だから、乗り換えない。積み足すんです。

給料という一つ目のエンジンを回したまま、二つ目のエンジンを積む。二つ目のエンジンの中身は、「誰の何を解決するか」を決めた自分の商品と、その商品が売れる導線です。これが、このブログで書いていく「セカンドエンジン起業」です。

二つ目のエンジンが3年回り続けて、一つ目の3倍の力を出すようになったら、そのとき初めて、一つ目を止めるかどうかを考えればいい。止めなくてもいいんです。エンジンが二つある飛行機のほうが、ずっと安心して遠くまで飛べますから。

会社を辞める前にやること

では、会社にいるうちに、二つ目のエンジンをどう積むか。やることは4つです。

「誰の何を解決するか」を一行で決める

ここが決まらないと、ホームページもSNSも、何を書けばいいのか分からず手が止まります。まずは一行。「〇〇で悩んでいる△△の人が、□□できるようになるサービス」。これを決めるのが最初です。

あなたを知らない人が買うまでの導線をつくる

知り合いの紹介だけで売れているうちは、売上の波が大きくなります。あなたを知らない人が見つけて、知って、買うまでの流れ(セールスファネル)をつくっておく。これが3年続く売上の土台になります。

売上を毎月記録する

「3年」も「3倍」も、記録がなければ判断できません。辞めるかどうかを、その日の気分で決めないためです。一人だとサボるので、毎月決まった日に数字を書き込む日を手帳に入れてしまってください。

会社の就業規則で副業のルールを確認する

副業を認めている会社でも、届け出が必要だったり、同業の仕事が禁止されていたりします。始める前に、就業規則を一度読んでおきましょう。

まとめ

会社は辞めない。辞めるなら、副業の売上が3年(36カ月)以上続けて本業の収入の3倍を超え、しかも直近12カ月も3倍を割っていないこと。

3年は、良い年と悪い年の両方を見るための期間です。3倍は、一番悪い年でも暮らしを割らないための数字です。

だから、乗り換えずに積み足す。給料というエンジンを回したまま、自分の商品と導線という二つ目のエンジンを積む。それがセカンドエンジン起業です。

このブログでは、二つ目のエンジンの積み方を、一つずつ書いていきます。

先延ばしにしていい準備は一つもありません。でも、退職届だけは、一番最後でいいんです。

参考にした資料

篠田圭三

この記事を書いた人

篠田圭三

280億円コピーライター/BESTAD合同会社 代表

コピーライター歴は20年以上。クライアントの累計売上貢献額は280億円を超えます。

仕事は、コーチ、コンサルタント、セラピスト、占い師、先生業の人の「売れる言葉」と「売れる導線」をつくることです。このブログでは、会社員のうちに自分の商品と導線をつくる手順を、現場でやっているとおりに書いています。